各種制度・申請
自立支援医療制度
自立支援医療制度(精神通院医療)は、通院による精神医療を続ける必要がある方の通院医療費の自己負担を軽減するための公費負担医療制度です。
医療費の自己負担額が3割から1割に軽減となったり、負担する金額が多すぎる場合に公費で補助が受けられたりします。
受給要件
〇精神保健福祉法第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による急性中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む)を有すること。
〇通院による精神医療を継続的に要する病状にあること。
例えば、以下の病気が該当します。
🔵統合失調症
🔵うつ病、双極性障害などの気分障害
🔵薬物などの精神作用物質による急性中毒又はその依存症
🔵PTSDなどのストレス関連障害や、パニック障害などの不安障害
🔵知的障害、心理発達の障害
🔵アルツハイマー病
🔵老年期および初老期における認知症全般
🔵てんかんなど
自己負担金額
🔵申請が受理されると、通院時の窓口会計負担が1割に軽減されます。(薬局での調剤料等も含む)
※所得によって上限額が設定され、その上限に達した場合、以降その月の窓口負担はなくなります。
有効期間
🔵有効期限は1年間です。
🔵更新は1年毎に必要となり、3ヶ月前から更新手続きが可能です。
🔵診断書は2年に1度の発行が必要です。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。精神障害者の自立と社会参加の促進を図るため、手帳を持っている方々には、様々な支援策が講じられています。
受給要件
🔵統合失調症、双極性障害、非定型精神病、てんかん、中毒性精神病、器質性精神病およびその他の精神疾患を有する者であること。
🔵精神障害のために長期にわたって日常生活または社会生活への制約(障害)があること。
※ただし、知的障害があり、上記の精神疾患がない方については、療育手帳制度があるため、手帳の対象とはなりません。(知的障害と精神疾患を両方有する場合は、両方の手帳を受けることができます)
手帳の等級
症状に応じて、1~3級の等級があります。
1級:精神障害を認め、身の回りのことはほとんどできない。
2級:精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする。
3級:精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする。
等級によって受けられるサービスに差はありますが、
〇税金(所得税、住民税、相続税、贈与税、自動車税など)の控除
〇生活保護費の障害者加算
などが挙げられます。その他は居住地の都道府県、市区町村によって変化します。
有効期限は原則2年間で2年ごとに障害の状態を再認定し、更新することになります。その間でも、障害の程度に変化があったときには、障害等級の変更申請をすることができます。なお、通常は有効期限の3ヶ月前から更新手続きが可能です。
その他
🔵初診日から6ヶ月経過後、申請が可能です。
🔵自立支援医療と有効期限の時期が被る場合、手帳用の診断書1通で同時に更新・申請することができます。
🔵等級は1~3まであり、1級・2級は生活保護を受けている場合障害者加算が付きます。
(非該当となった場合は不承認通知書が交付されます)
🔵手帳が交付されたら、携帯してください。
🔵手帳に記載されている内容に変更があった場合、速やかに変更手続きを行ってください。
🔵手帳を紛失したり破損した場合には、速やかに再交付の手続きを行ってください。
精神障害者年金
精神障害者年金とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度で、65歳以前に障害を持ち、日常生活や仕事に支障がある方に対して支払われる生活補助金です。
受給対象者
病気やケガにより生活や仕事などが制限される方が対象で、以下の3つの条件を満たしている場合には受給対象となります。
- 障害の原因となった病気やケガの初診日(※1)の時点で下記のいずれかの間にあること
※1 初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師などの診療を受けた日をいいます。
🔵国民年金か厚生年金のいずれかの被保険者であること
🔵20歳未満
🔵日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金を繰り上げしている場合は除く) - 一定の保険料の納付要件を満たしている(20歳未満の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は除く)
- 障害の状態が障害認定日(※2)または、初診日が20歳未満の場合は20歳の時点で等級に該当する
※2 障害認定日とは、障害の状態を定める日のことで、障害の原因となった病気やケガについての初診日から1年6ヶ月を過ぎた日、または1年6ヶ月以内にその病気やケガが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。障害認定日に障害の程度が軽くて、障害状態要件を満たさない場合には、その後障害の状態が重くなり、65歳までに前記要件を満たせば請求することができます(事後重症)。
対象疾患
うつ病、双極性障害、統合失調症、老年期および初老期における認知症全般、てんかん、知的障害、心理的発達の障害、高次脳機能障害アルツハイマー病など
将来の程度と等級表
障害の程度が該当するとは、対象となる傷病が国民年金法と厚生年金法で定められた等級に該当する必要があります。下記は障害の程度の基本となるものです。
※ 障害手帳の等級とは異なりますのでご注意ください。
- 障害等級1級
精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時援助が必要である(たとえば、家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない。また、在宅の場合に通院などの外出には、付き添いが必要な場合など)。 - 障害等級2級
精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である(たとえば、著しく適正を欠く行動が見受けられる。自発的な発言が少ない。あっても発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など)。 - 障害等級3級
精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時の応じて援助が必要である(たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など)。
障害手当金の種類
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類あります。初診日に加入していた年金制度、障害の状態(等級)、ご家族構成により、受け取ることができる年金額が変わります。
- 障害基礎年金
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の農業者・自営業・学生などの第1号被保険者や、会社員や公務員である第2号被保険者、 20歳以上60歳未満の第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者の方で、障害等級が1〜2級に該当する方が対象です。
なお、初診日の時点で20歳未満の方や日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方で年金制度に加入していない期間(老齢基礎年金を繰り上げしている場合は除く)の方で障害等級が1〜2級に該当する方も対象です。 - 障害厚生年金
初診日の時点で厚生年金保険に加入していた方で、障害等級が1〜3級に該当する方が対象です。 厚生年金は「2階建て」の仕組みになっているため、2級以上に該当するのであれば「障害基礎年金と障害厚生年金」を受け取ることができます。
※ 平成27年10月から、それまでの共済年金制度が廃止され、厚生年金保険制度に公務員及び私学教職員も加入することとし、被用者の年金は厚生年金保険制度に統一されました。
特別児童扶養手当
🔵目的は障害を持つ子の豊かな暮らし
障害を持つ児童が豊かで幸せに暮らせるように、国が支給するものです。平成23年9月から、「発達障害」が含まれるようになりました。ここでいう「児童」とは小学生のことではなく、20歳未満の者のことを指します。
🔵本人ではなく保護者に支給される手当
特別児童扶養手当は、障害を持つ児童本人ではなく、養育する保護者の方に支給される手当です。
支給の要件
🔵支給の対象は本人を育てている方
精神・知的または身体に障害を有する20歳未満の児童を育てている父母や、親に代わって子どもを扶養、監護している方に支給されます。申請により一定の要件を満たしていると認められれば手当の受給が可能です。
🔵支給されないのはこんなとき
- 受給者の所得が限度額を超えているとき(限度額は、千葉県のホームページ「障害のある人への手当」でご確認ください)
- 対象となる子どもと受給者が国内に住んでいないとき
- 障害を支給軸とする公的年金を受けているとき
- 児童福祉施設などに入所しているとき(保育所や通所施設を除く)
特別児童扶養手当の認定基準について
特別児童扶養手当の受給をするには、審査により認定を受ける必要があります。
🔵障害の度合いによる2つの等級
特別児童扶養手当は、養育する子どもの状態によって1級と2級に分けて認定しています。
- 1級(重度の障害):日常生活において、常時介助か保護がないと生活できない障害。おおむね身体障害者手帳1・2級程度、療育手帳の判定がA程度、精神障害者保健福祉手帳1級程度
- 2級(中度):身体障害者手帳3級程度または日常生活が著しい制限を受ける程度の知的障害もしくは精神障害
参考:特別児童扶養手当障害程度認定基準
特別児童扶養手当の内容
🔵手当の支給は年に3回
原則として毎年4月・8月・11月に、4ヶ月分ずつまとめて支給されます。支給されるのは、申請が承認された翌月分からです。申請前の月にさかのぼって支給されることはありません。特別児童扶養手当の支給期間は、最長児童が20歳になる誕生月までです。
🔵1回の支給額は4ヶ月分の合計
支給額は月額で計算されますが、実際の支給は4か月分を合算した金額が1年に3回振り込まれます。4月に支払われるのは12~3月分、8月に支払われるのは4~7月分、11月に支払われるのは8~11月分です。
🔵決まりごと
特別児童扶養手当は、申請さえすれば誰でももらえるわけではありません。提出した書類を審査し、「受給者の所得」と「子どもの障害の度合い」という2つの側面により、支給の可否を決定します。この審査基準は全国一律ではなく、都道府県単位で少しずつ異なるため窓口に確認が必要です。
特別児童扶養手当の手続きの仕方
特別児童扶養手当は国の制度ですが、手続きは住所地の市区町村の窓口で行います。
🔵必要な書類など
支給の手続きは、住所地の市区町村の窓口に必要な書類をそろえて申請します。提出書類は自治体により若干異なることもあるため、あらかじめ窓口に問い合わせてください。以下に一般的に必要なものを記載します。診断書など、用意するのに時間がかかるものもあるため、余裕を持って準備しましょう。
認定請求書
戸籍謄本:請求者と対象児童のもの。本籍地にて取得する
住民票の写し:請求者と対象児童が含まれる世帯全員のもの
療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・身体障害者手帳のいずれか(取得している場合)
診断書:手帳を取得していない場合は、特別児童扶養手当用の診断書を窓口で受け取り、医師の記入が必要です。他、ダウン症などによる知的障害や身体障害がある場合には、療育手帳や身体障害者手帳の写しで診断書にかえられることがあります。申請月または前月に書かれたもののみ有効となります。
所得証明書
請求者の印鑑
振込先口座申出書:請求者名義の口座。インターネット銀行は不可の場合がある
マイナンバーカード、またはマイナンバーが確認できるものおよび身元確認書類(免許証・パスポートなど)
🔵最初の手続き方法
特別児童扶養手当は、療育手帳や障害者手帳を持っていなくても申請することが可能です。ここでは最初の手続きについて見てみましょう。
申請から判定結果が出るまでは、3ヶ月ほどかかります。日程に余裕を持って手続きを進めましょう。
住所地の市区町村役場に行き「特別児童手当認定診断書」をもらう
病院で検査を受け、診断内容を記入してもらう
診断書以外の必要書類もそろえて窓口に提出
所得確認後に障害の程度を審査
判定結果をもとに手当証書を作成
手当の通知を送付
※申請の前に面談が必要な場合があります。
🔵1年に1回の現況届
特別児童扶養手当の受給期間中は、毎年8~9月の特定期間に受給者の「所得状況届」を提出する必要があります。これは、受給者の所得が基準以下であることを確認するものです。事前に役所から通知が来るので、忘れずに提出しましょう
🔵更新の手続き
特別児童扶養手当は、原則として2年に1回の更新が必要です。更新時には、初めて申請したときと同様の診断書や手帳が必要となります。更新の申請は毎年3月・7月・11月です。
🔵注意点
特別児童扶養手当の更新は申請時期が決まっているため、その時期になると専門医がいる医療機関は、診断書発行の予約で込み合います。半年から数か月前でないと予約が取れないこともあるため、早めに予定を組みましょう。
特別児童扶養手当の使い方
特別児童扶養手当は、使い道が指定されているわけではありません。子どもの豊かな暮らしを実現するために、各家庭の実情に合わせた使い方をすることが可能です。どのように利用しているか一例を挙げてみましょう。
デイサービスなどの福祉サービスに使う
民間療法や支援グッズの購入など、試してみたかったことを取り入れてみる
子どもの将来のために蓄えておく
学資保険や生命保険に加入する
など
傷病手当
健康保険などの被保険者が、業務上でない負傷や病気のために就業できなくなったときに支給される手当金。保険給付の一つで、本人およびその家族の生活費として支給されます。
受給要件
健康保険に加入している本人であること。
病気や怪我で療養中であり、就労不能な状態であること。
欠勤初日から連続して3日以上欠勤していること。
(最初の3日間を待機期間といい、4日目から支給されます)
欠勤期間中に給料をもらっていないこと。
支給金額
1日につき、その人の標準報酬日額の約6割が支給されます。
給料の支払いがない期間のため、有給休暇を消化した日は含まれません。
※標準報酬日額は標準報酬月額(月給)/30で計算されます。
支給期間
期間は最長1年6ヶ月です。
(途中で復職をしていた場合、その期間も含めて1年6ヶ月の計算となります)
同一病名で休職する場合、復職から概ね3年程度通常の日常生活を営んでいれば社会的治癒とみなされ、再度支給を受けることができます。(どの段階で社会的治癒をみなすかは医師や医療機関によって差があります)
傷病手当金支給中に退職した場合、以下の全てを満たせば退職後も継続して支給を受けることができます。
健康保険に加入していた期間が、退職した日の前日まで継続して1年以上あること。
退職をするまでに連続して3日間以上欠勤した期間があること。
退職前に、以前に1日でも傷病手当金の支給を受けていたことがある状態であること。
申請方法
申請は以下の書類を揃え、最寄りの社会保険事務所もしくは勤務先の所属している健康保険組合に提出します。
🔵傷病手当金申請書
🔵病気や怪我で休んでいるという会社(事業主)の証明書
🔵医師の意見書(就労困難である旨の証明)
※定期的に通院されていない場合は、医療機関から書いてもらえない場合 が大半です。
※会社の総務係等が手続きの代行を行っている場合もあるため、確認してください。
🔵書式により、最大3ヶ月までまとめて記載・提出が可能ですが、通常は1ヶ 月単位で記載・提出します。
※退職後、傷病手当を受けている期間に再就職をした場合、手当の支給は打ち切られます。