女性のうつ病
メンタルサポートニュース
女性うつ病患者の特徴
- 全年齢層を通して女性が有意に多い
- 自殺企図は女性で多いが、既遂率は男性で高い
- 病前性格(親和性性格)の相違
- 自覚的な抑うつの苦悩が強い
→自己評価尺度が高い - 援助を希求する傾向が高い
- 不安症状、身体化、無価値感、睡眠障害が多い
- 不安障害や身体化障害の併存が多い
- 発症年齢は女性が低年齢
- 遷延化し再発を繰り返すことが多い
マタニティーブルーズ、産後うつ病、産褥精神病の比較
↓テーブルを左にスクロールできます。
1.マタニティーブルーズ | 2.産後うつ病 | 3.産褥精神病 | |
頻度(日本) | 7~30% | 4~20% | 0.10% |
症状 | 軽度のうつ状態(抑うつ気分、涙もろさ、集中力低下など) | 軽度~重度のうつ状態(抑うつ気分、涙もろさ、悲観的思考、意欲低下、行動の減少など) | 急性精神病状態(意識混濁、困惑、錯乱思考、幻覚、妄想など) |
発症時期 | 産後10以内 | 多くは産後2~5週 | 産後4週以内 |
経過 | 1~14日間 | 数ヵ月 | 数週~数ヵ月 |
転帰 | 寛解 | 寛解が多いが、一部は遷延 | ほとんどが寛解 |
治療 | とくに必要なし | 薬物療法、精神療法、環境調整 | 薬物療法、精神療法、環境調整 |
発症に関連する要因 | 産後のホルモンの低下、心理社会的要因、産科的要因 | 脳内モノアミンの異常、産後のホルモン低下、心理社会的要因、産科的要因 | 脳内モノアミンの異常、産後のホルモン低下、心理社会的要因、産科的要因 |
病態 | 生理的反応に近い | 抑うつ障害 | 統合失調症スペクトラム障害~双極性障害圏 |
松島英介・仙波純一、女性のうつ病 ライフステージからみた理解と対応、メディカル・サイエンス・インターナショナルより
更年期うつ病
退行期うつ病とも呼ばれるが、この診断は今は使われない。閉経期だからといって抑うつになるとはかぎらない。しかし女性全体で見ると、閉経期前にうつ病になる割合は、それ以前よりも高い。この時期、女性のエストロゲン・レベルが下がりはじめる。
閉経期の女性で、それまで抗うつ薬の効果があまり現れなかった人に、補助的にエストロゲンを与えると、抗うつ薬が非常によく効くことがある。また、ほかの治療で効果がなかったうつ病の女性に、エストロゲンを大量に投与すると、症状が改善する例がある。
女性のうつ病は全体として、閉経期以後減少する。
brian P. Quinn 大野裕(監訳)・岩坂彰(訳)(2003).「うつ」と「躁」の教科書 株式会社紀伊國屋書店