ゲーム依存症

ゲーム依存症は、さまざまな弊害引き起こす病気ともいえます。

当院では、薬物療法、認知行動療法(コミュニケーションスキルを高める働きかけ)に加え、家族への学習、家族会参加、適切な対処法を身につける方法を推奨しております。
当院を受診される前に、「宿題の後なら、ゲームを1時間していい」などとしているご家庭も多いと思われますが、これは、望ましくありません
「ご褒美」を得ることが目的となってしまい、「ルールを守る」という本来の目的が疎かになってしまいます。

さしあたり、「相談したい・提案がある」などと、親から子どもに話を持ちかけることが、好結果が出やすいようですが、そう簡単には事は運びません。
そこで、ゲーム機を取り上げたり、さまざまな交換条件を示すという、いわば「とりひき」にも疑問が残ります。
もっとも大切なのは、親子が向き合って解決の糸口を見つけていく行動確認が鍵となります
得意、不得意がはっきりしていることが特徴的であることが多いため、得意分野を伸ばすことが、「生きづらさ」を「生きやすさ」にかえるポイントとなります。

ゲーム依存症の場合、コミュニケーションスキルの低さ(傷つくのを恐れ自分を守るため)がもっとも問題とされており、その背後には

①父親不在 ②威圧的な父親が支配する

のどちらかといわれておりますが、結果、「母子カプセル(やさしい暴力)」を生むことになり、埒があがりません。
すなわち、機能不全家族に陥った子どものこころの特徴は、

①低い自尊心(閉じこもり) 
②自己主張が苦手(IT機器で疑似的な人間関係をつくる) 
③不得手な対人関係(威嚇または同情を買う)

が代表格で、とても各々が厄介なため、じっくり腰を据えて治療することが必要となります。

ネット依存症から子どもを救うための6箇条

適切な家族の対応が不可欠

  1. 取引しない、駆け引きしない
  2. 一貫した毅然とした態度
  3. 一喜一憂しすぎない
  4. 1人で判断しない
  5. 「私は・・・」で始まるメッセージで話す
  6. 家族で同じ対応を目指す

親も上手にストレスを発散しよう

ネットへの依存状態がグレーゾーンの場合は、本人と家族の自助努力で回復できることもあります。
キンバリー・ヤング博士は、ネット依存症から脱却する有効な方法として、次の5つを挙げています。子どもとともに取り組んでみましょう。

  1. 自分が失いつつあるものを知る
    インターネットで費やす時間のために、切り詰めたり、削ったりしている事柄を書き出してみると、なにを失いつつあるのか自覚できます。
  2. ネットを使用している時間を計る
    1日5時間すると1週間で35時間、1か月で150時間にもなります。具体的に計算させると、より実感できるでしょう。
  3. 時間を管理する
    1日の予定をたて、ネットを利用する時間を決めて、スケジュール表に書き込みます。
    ネットの代わりとなる活動を見つけましょう。
  4. 支援を見つける
    支援グループや相談窓口、医療機関、親身になってくれる第三者などをもみつけましょう
  5. きっかけを探す
    ネット依存症になったきっかけを探して、可能ならその問題を解決します。