大人の双極性障害(躁うつ病)
メンタルサポートニュース
気分が高まったり落ち込んだりと「躁状態」と「うつ状態」を繰り返す脳の機能による病気です。決して「性格」ではありません。
年代にかかわらず、およそ100人に1人がかかるとされております。
単極性うつ病と双極性うつ病の臨床像の差異
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単極性うつ病に多い症状 | 双極性うつ病に多い症状 |
○不安 ○入眠困難 ○身体的愁訴 ○痛覚感受性 ○精神運動焦燥 ○体重減少 ○食欲低下 |
○緊張/恐怖 ○過眠 ○抑うつ混合状態 ○産後エピソード ○エピソードごとの症状変化 ○REM睡眠の断片化 ○エピソード内の気分変動性 ○精神病の特徴 ○易怒性(双極Ⅱ型) ○物質乱用の併存 ○早朝覚醒 |
精神運動制止:単極>双極,単極<双極 非定型の特徴:双極Ⅱ型>単極,双極Ⅱ型=単極 |
Goodwin FK,Jamison KR.Manic-Depressive lllness.Bipolar Disorders and Recurrent Depression.2nd Edition.Oxford University Press,2007より抜粋
Akiskalらによる双極スペクトラムの分類
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型 | 特徴 |
双極1/2型 | 統合失調感情障害の双極型 |
双極Ⅰ型 | 明確な躁病相とうつ病相のあるタイプ |
双極Ⅰ1/2型 | 遷延する軽躁病相とうつ病相のあるタイプ |
双極Ⅱ型 | 軽躁病相とうつ病相のあるタイプ |
双極Ⅱ1/2型 | 気分循環気質で、うつ病相を示すタイプ |
双極Ⅲ型 | うつ病相を示すが、抗うつ薬により軽躁が引き起こされたタイプ |
双極Ⅲ1/2型 | うつ病相を示すが、覚せい剤などにより軽躁が引き起こされたタイプ |
双極Ⅳ型 | 発揚気質で、うつ病相を示すタイプ |
双極Ⅴ型 | DSMで診断されない閾値下の混合状態 |
双極Ⅵ型 | 認知症にみられる抑うつ、気分変動、易怒性 |
Akiskal HS,et al.Psychiatr Clin North Am 22:517-534,1999より改変
躁病エピソードスクリーニング質問紙
(HOMES:Hokkaido University ManiaEpisode Screening Questionnaire)
以下の質問があなたにあてはまりましたら「はい」に○を、あてはまらなければ「いいえ」に○をつけてください。
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はい | いいえ |
- で「はい」に○をつけた方は以下の質問にお答え下さい。
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はい はい はい はい はい はい はい |
いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ いいえ |
井上猛,小山司.躁状態.In:山内俊雄ほか(編).精神科専門医のためのプラクティカル精神医学.pp35-40,中山書店,2009.
単極性うつ病と双極性うつ病
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単極性うつ病 | 双極性うつ病 | |
臨床症状 | 不安、焦燥、興奮、怒りが多い、身体的訴えが多い | 精神運動抑制が強い 身体的訴えが少ない |
発病年齢 | 遅い | 早い |
発病の誘因 | 認められることが多い (40%近く) |
認められないことが多い |
遺伝・家族歴 | 躁病は少ない 発症した近親者は女性が多い 40歳後遅発うつ病が多い |
X染色体と関連するものがあるらしい 遺伝負因高く、近親者が発病する危険率が高い 躁病が多い 発症した近親者の性差はない 自殺が多い アルコール中毒が多い |
病前性格 | 執着性格、メランコリー型 | 循環気質 |
生活歴 | 独身、離婚率は低い 自殺率は低い |
独身、離婚率が高い 自殺率は高い |
病期と期間 | 病期1~2回 期間6~9ヶ月 |
病期3回以上 期間3~6ヶ月 |
薬物治療への反応 | 炭酸リチウムの効果は不確実 3環系抗うつ薬の効果あり |
炭酸リチウムで効果著明 3環系抗うつ薬で躁転傾向 |
単極性うつ病と双極性うつ病の比較 (渡辺昌祐、光信克甫『プライマリケアのためのうつ病診療Q&A』改訂2版、金原出版、1997年より引用、一部省略)
服薬(飲み心地と副作用の報告) 睡眠覚醒リズムの確立 セルフモニタリング 適度な作業と運動 生活リズムの確立 |
当事者にやってもらいたいこと 内海健(2013).双極Ⅱ型障害という病 改訂版うつ病新時代 勉誠出版
メランコリー型 (単極性うつ病) |
マニー型 (単極型躁病) |
安定 依存的 因習的 几帳面(些事拘泥) 空想貧困 良心的 用心深い |
気まぐれ 自立的 非因習的 寛大(おおまか) 空想豊富 おおらか 向こうみず |
(両型に共通) 活動的 勤勉 親切 |
メランコリー型とマニー型
Zerssen DV: Premorbid personality and affective psychosis. In Burrows GD(Ed): Handbook of Studies on Depression,Excerpta Medica,Amsterdam,pp79-103,1977
治療方法
治療は、気分の浮き沈みの幅を少なくする・抑える「気分安定薬」を主として使用していきます。繰り返しになりますが、併せて「心理教育」も行います。
再発について
双極性障害は再発しやすい病気で、繰り返しの再発によって認知機能が低下し、もともとの精神機能を維持することが難しくなってきます。再発を予防する目的で少量の対症薬を維持的に服用していく維持療法を行っていくことが推奨されています。