高齢者のうつ病
メンタルサポートニュース
症状の特徴
- 悲哀の訴えが少なく、気持ちの落ちこみや、滅入った印象が目立たない。
- むしろ、意欲や集中力の低下、精神運動遅延が目立つ。
- 心気的(自分の健康状態や身体機能に対して必要以上にこだわり心配する)な訴えや記憶力衰えに関する訴えが多い。
- 身体的な愁訴は重要な要素である。
- 認知機能障害を伴いやすい。
- 遷延化しやすい。
実は、背景に、近親者の疾病や死別などがひきがねとなっている場合が少なくない。これらは、症状発現・悪化のハイリスクであり、大うつ病と同程度の機能障害をもたらします。
自殺危険率の高いうつ病患者の特徴
基本的特徴 | 男性(5-10倍) 65歳以上 単身者(特に子供がいない) |
病歴・家族歴 | 自殺企図の既往あり 精神科入院歴あり 自殺の家族歴あり |
合併疾患 | アルコール・薬物依存の併発 パニック障害の併発・不安の強さ 重症身体疾患の併発 |
日本うつ病学会 気分障害の治療ガイドライン作成委員会,2013より引用
心理・社会的支援のポイント
- 物理的支援だけではなく 「気にかけてもらっている」 「支えられている」 「助けてもらっている」 などという実感をもっていただけるような支援体制が大切です。
- 現実の状況以上に悲観的な考え(認知の歪み)に陥っていることが多くみられます。認識を修正するなどの支援も大切となってきます。
うつ病の鑑別診断のための検査として、血算、生化学(肝機能 ・ カルシウムを含む)、血糖、甲状腺機能、ビタミンB12、葉酸、血清梅毒、胸部X線、心電図、頭部CTスキャン、脳波を行うことが推奨されておりますのでご一考ください。
治療
早期発見により、高い生活が維持できることを強調させていただきます。
高齢者特有の心理状態に対しては、安心感や自分をわかってもらえている感覚を満たすより、孤立感をどう埋めていけるかという視点は欠かせません。
このように、高齢者のうつ病を考えるうえで、家族が果たす役割は非常に重きをなします。